ソウル地下鉄2号線で、蚕室(チャムシル)駅のひとつ隣にある蚕室セネ(チャムシルセネ)駅。ロッテワールドやロッテワールドタワーを目当てにソウルを訪れる人は多いですが、そのすぐ近くに、地元の人々が集う飲食店街や市場の雰囲気を味わえるエリアがあることをご存じでしょうか。

駅周辺には韓国料理店や焼肉店、気軽に立ち寄れるカフェが集まり、少し歩けばスポーツ施設や漢江の歴史ともつながる蚕室の街並みが広がります。華やかな観光地とはひと味違う、日常のソウルを楽しめる駅です。
基本情報・アクセス
蚕室セネ駅(잠실새내역/Jamsilsaenae Station)
- 所在地:ソウル特別市松坡区(ソンパ区)
- 路線:ソウル地下鉄2号線
- 駅番号:217
- 主な周辺スポット:セマウル市場、蚕室総合運動場、蚕室駅周辺
ソウル地下鉄2号線を利用し、江南(カンナム)方面からも弘大(ホンデ)・市庁方面からもアクセスできます。隣の蚕室駅からはロッテワールドやロッテワールドモール方面へ、反対隣の総合運動場駅からは野球場などのスポーツ施設方面へ移動できます。
蚕室駅周辺の大型商業施設とは異なり、蚕室セネ駅周辺は飲食店街や住宅地の生活感が魅力。買い物中心の観光に少し変化をつけたいときにもおすすめです。
周りの見どころ|地元の食堂街からスポーツの聖地まで
1. セマウル市場(새마을시장)
蚕室セネ駅周辺を歩くなら、まず訪れたいのがセマウル市場です。市場らしい小規模な商店や飲食店が集まり、地元の人々の買い物や食事の風景を感じられます。
韓国の市場といえば、観光客向けの屋台が並ぶ大規模な市場をイメージするかもしれません。しかし、住宅街に根ざした市場には、普段使いの惣菜店や食堂など、暮らしに密着した魅力があります。華やかな観光スポットを巡るだけでは出会いにくい、ソウルの日常をのぞいてみましょう。
2. 蚕室総合運動場(잠실종합운동장)
駅の南側へ歩くと、スポーツや大規模イベントの舞台となる蚕室総合運動場があります。野球の試合やコンサートなどが開催されるエリアで、イベント開催日は周辺の飲食店もにぎわいます。
観光で訪れる場合は、イベントがない日に周辺を散策するのもよし、試合や公演の日に合わせて訪れるのもよし。韓国のスポーツ文化やライブイベントの熱気を感じたい人にぴったりです。
3. 蚕室駅・石村湖方面へ足を延ばす
時間に余裕があれば、隣の蚕室駅や石村湖(ソクチョンホス)方面まで散策するのもおすすめです。ロッテワールドやロッテワールドタワーなどの大型観光スポットと、湖の周囲を歩く落ち着いた時間を組み合わせられます。
蚕室セネ駅周辺で食事を楽しんでから、石村湖方面へ向かえば、にぎやかな飲食店街と開放的な水辺の景色の両方を楽しめます。
知ると面白い歴史やトリビア
駅名が「新川」から「蚕室セネ」に変わった理由
この駅は、かつて「新川(シンチョン)駅」と呼ばれていました。2016年12月に現在の「蚕室セネ駅」へ改称されています。
大きな理由のひとつが、同じ地下鉄2号線にある「新村(シンチョン)駅」との混同を避けることでした。新村駅は延世大学などで知られるソウル西側のエリアにあり、新川駅は東南側の蚕室エリアにあります。韓国語では似た発音の駅名だったため、旅行者にとっても紛らわしい組み合わせだったのです。
新しい駅名の「セネ(새내)」は、韓国語で「新しい川」を意味する「新川」の固有語による表現です。つまり、名前を変えても、かつての地名の意味は受け継がれているわけです。
古い旅行記や地図、ブログなどで「新川駅」と書かれていたら、基本的には現在の蚕室セネ駅を指していると考えてよいでしょう。

かつての蚕室は、漢江に浮かぶ島だった
現在の蚕室は、高層マンションや大型商業施設、スポーツ施設が集まる近代的な街です。しかし、かつての蚕室は漢江(ハンガン)の中にある「蚕室島」と呼ばれる島でした。
1970年代の漢江開発によって川の流れや地形が変わり、1971年には松坡江(ソンパガン)の流路が埋め立てられるなど、周辺の景観は大きく変化しました。現在の蚕室の街並みは、こうした大規模な都市開発の上に成り立っています。
駅名に残る「新川」という言葉も、かつてこの地域に川が流れていたことを思い出させてくれます。高層ビルの並ぶ街を歩きながら、数十年前の地形を想像してみると、ソウル散策がさらに面白くなります。
周りのグルメ|定番・隠れ名店・カフェ
定番:늘푸른목장(ヌルプルン牧場)
韓国らしい焼肉を楽しみたいなら、韓牛(ハヌ)を扱う「늘푸른목장(ヌルプルン牧場)」がおすすめです。蚕室セネ駅から徒歩圏内にあり、牛肉の焼肉やユッケなどを楽しめるお店として知られています。
韓国の焼肉は、サムギョプサルのような豚肉料理だけではありません。韓牛の焼肉は、部位ごとの味や食感をじっくり楽しみたいときにぴったりです。複数人で訪れるなら、いくつかの部位を注文して食べ比べるのもよいでしょう。
隠れ名店:탄포포(タンポポ)
少し変化球の食事を楽しみたい人には、海鮮料理を中心とした「탄포포(タンポポ)」も候補です。熟成刺身などを楽しめる日本式居酒屋で、地元の飲食店街にある一軒です。
韓国旅行では焼肉やチゲに目が向きがちですが、刺身や海鮮料理をつまみながらお酒を楽しむスタイルも、街の夜を満喫する選択肢のひとつ。席数や混雑状況によっては待つこともあるため、訪問前に営業状況を確認しておくと安心です。
カフェ:Coffee Buy Roasters(커피바이 로스터스)
散策の休憩には、スペシャルティコーヒーを楽しめる「Coffee Buy Roasters」へ。蚕室セネ駅近くの飲食店街にあるカフェで、店内で焙煎したコーヒーを味わえます。
韓国では大型チェーンのカフェだけでなく、個性のあるロースターや小規模カフェを巡る楽しみも広がっています。食事のあとにコーヒーを飲みながら、次に歩く場所を考える時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
※店舗の営業時間や営業日、メニューは変更されることがあります。訪問前に最新情報を確認してください。
散策のモデルコース|所要時間は約3〜4時間
蚕室セネ駅周辺を中心に、食・歴史・街歩きを楽しむコースです。
① 蚕室セネ駅に到着(15分)
駅周辺の通りを歩き、飲食店や商店が集まる街の雰囲気をチェック。駅名が以前は「新川」だったことを思い出しながら歩くと、街の歴史にも興味が湧いてきます。
② セマウル市場を散策(30〜40分)
市場の店先を眺めながら、地元の買い物風景を楽しみます。気になる軽食や惣菜があれば、食べ歩きやお土産探しもよいでしょう。
③ 韓国料理でランチ(60分)
しっかり食べたいなら「늘푸른목장」で韓牛の焼肉を。夜に訪れる場合は、タンポポで海鮮料理を楽しむプランに変更するのもおすすめです。
④ Coffee Buy Roastersで休憩(30〜40分)
コーヒーを飲みながらひと休み。食事中心の散策でも、カフェを挟むことでゆったりとした時間を過ごせます。
⑤ 蚕室総合運動場方面へ(40〜60分)
周辺を歩き、スポーツ施設やイベント会場の雰囲気を感じてみましょう。イベントの開催日なら、試合や公演に合わせて訪れるのも楽しみ方のひとつです。
合計:約3〜4時間
市場で食べ歩きをしたり、蚕室駅・石村湖方面まで足を延ばしたりする場合は、さらに1〜2時間ほど見ておくと安心です。
まとめ
蚕室セネ駅は、ロッテワールドのような有名観光地のすぐそばにありながら、地元の市場や飲食店街、個性のあるカフェを楽しめるエリアです。
かつて「新川駅」と呼ばれていたことや、蚕室が漢江の島だった歴史を知ると、何気ない街並みも違って見えてきます。ソウルの有名スポットを巡る旅に、地元の人々が日常的に利用する街の散策を加えてみたい人におすすめの駅です。

