韓国ドラマを観ているとたまに「1歳のトルチャビで私は糸を掴んだから長生きするはずだ」みたいなセリフが登場して「？？？」となる事はありませんか？
トルチャビ（돌잡이）とは生まれて1年目の初めての誕生日に子供の将来を占う韓国の伝統的な儀式のひとつです。
1年目の誕生日は特別
韓国では生まれて1年目の初めての誕生日は「トルチャンチ（돌잔치）」と言って特に盛大に祝われます。
昔は幼児の死亡率も高く、1歳まで健康に育ってくれた事を祝うイベントの名残りだとされ、現代では親族や友人を呼んでホテルやレストランを貸し切って行われる事もあるようです。
トルチャンチでは子供の前に色々な果物やお菓子が並べられて誕生日を祝いますが、中でも目玉イベントになるのがトルチャビです。
トルジャビとは？
トルチャビとはトルチャンチの主役である幼児の前に糸や木槌、お金やマイクを置いて、何を掴んだかによって子供の将来を占う行事です。
昔は男女共通でお米、糸、お金、本、筆や麺類、お餅などが置かれた他、男の子は弓、長刀が置かれ、女の子ははさみや裁縫針が置かれていたと言われています。
現在は男女で役割の違いも薄くなったほか、弓や長刀なんて使う機会ほぼ皆無なので、聴診器や裁判官の木槌、マイクや飛行機など将来高給取りになれそうなアイテムが定番になっているそうです。
それぞれ意味するものは以下の通り。
| 糸、麺類 | 無病長寿。 ※最近の子は昔に比べて無病長寿な場合が多いので安泰な公務員になるという解釈も。 |
| ナツメの実 | 子孫の繁栄。 |
| お米 | 裕福な資産家になる。 |
| お餅 | 丈夫で福が多い。 |
| 聴診器 | 将来は医学の道。 |
| 弓、モデルガン、警察用品 | 武人の証。職業軍人または警察官。 |
| 包丁 | 料理人。 |
| ものさし、針 | 手先が器用な人になる。 |
| 裁判官の木槌 | 将来は法曹界へ。 |
| 筆、本 | 作家やライターなど文才で有名に。または学者や外国語が得意に。 |
| 鉛筆などの筆記用具 | 教師、教授や秀才になる。 |
| 計算機、そろばん | 金融業。 |
| マイク | 芸能人やアナウンサーに。 |
| ボールなどスポーツ用品 | 将来はその道のトップアスリート。 |
| 福の字 | 福が多く訪れる。 |
| 千文字 | 成績優秀。 |
| お金 | 裕福でお金に困らない。 ※最近はクレジットカードを置いたり、外資系で活躍するように外国通貨を置く場合も。 |
| りんご | 食べる福が多くなる。 |
| マウス | IT専門家、実業家になる。 |
| カメラ | 映画監督、カメラマンなど美術分野で成功する。 |
| 新聞、カメラ | マスコミや新聞記者にる。 |
| 指揮棒 | 職業軍人や指揮者、事業家、国会議員、大統領などリーダーシップを発揮する。 |
| おもちゃの飛行機 | 航空会社に務める。 |
| ミニカー | 運転スキルに恵まれる。レーサーなどになる。 |
| とんかち | 建築家、大工などになる。 |
| ゲーム機 | プログラマーになる。 |
| 将棋盤、ボードゲーム | 古典遊戯の名人になる。 |
| 花札、トランプ | カジノのディーラーになる。 |
| 台本 | 俳優になる。 |
| おもちゃの船 | 船に関わる仕事に就く。 |
この他、親が就かせたい職業に関するものや、家庭それぞれの風習でアイテムは異なるそうです。
このトルチャビ、一番楽しんでいるのは言わずもがな親です。あまり願っていないものを掴んだりした時は笑ってやり直しさせたりもするみたいですが、子供の将来を願って昔から行われている伝統的な儀式です。
トルチャビが出てくるドラマ
例えばですが、「SWEET HOMEー俺と世界の絶望ー」では、パク・ギュヨン演じるジスが「私は糸を掴んだから長寿だ」「本当は父の胸ぐらを掴んだ」と言っていたり、これに対してキム・ナミ演じるジェホンが「僕は刀を掴んだから剣道の道に進んだ」と言っています。
また、みんな大好き「愛の不時着」でもソン・イェジン演じる主人公セリが「私は父を掴んで離さなかったから父の跡取りになるのも当然だ」というセリフが登場し、実際に赤ん坊だったセリが父を掴むトルチャビのシーンも登場します。
最近だとNetflixで1位を記録した「未成年裁判」でも序盤で小学生の息子を殺された母親が「トルチャビで糸を掴んだけど糸は長男のお下がりで古くなってたからこんなに早く死んでしまった」と後悔するシーンが登場します。
たいてい自分が何を掴んだか知っている
出生から365日目の事なので自分が何を掴んだのか鮮明に覚えてるよ！という方はほぼいないでしょう。しかし、親から聞いたり、写真が残っていたりして、韓国の方はだいたい自分がトルチャビで何を掴んだか知っています。
周りに韓国の方がいらっしゃったら「トルチャビで何掴んだの？」って聞いてみると盛り上がるかも知れません◎
日本にも似た文化があるらしい
調べてみたところ、日本にも同じく1歳の誕生日に幼児が掴んだものから将来を占う「選び取り」という儀式があるようです。
しかし、筆者は当然記憶に無く初耳だったので、すぐさま筆者母に尋ねてみたところ「何それ？」だそうです。しゅん。自分も是非やってみたかったー！（笑）
幼児の誕生祝いにいいかも
最近ではトルチャンチ用のトルチャビセットも売られているようです。誤飲や怪我をしないように大きめに作られていて、誕生日が過ぎてもおもちゃとして使えるので、親族や友人に1歳になるお子さんがいる場合は贈り物にもいいかも知れません◎
また、時代は可能性無限大の21世紀ですから、子供に進んでもらいたい道を象徴するおもちゃ（新幹線・飛行機・野球やサッカー、バスケのボール、バレエシューズやバレリーナの人形などなど）を100円ショップで買い込んでトルチャビしてみるというのも面白いかも！
子供の成長と将来を願うトルチャビ、小さなお子さんがいらっしゃる方は是非取り入れてみてはいかがでしょうか？子供が大人になった時に聞かせてあげるといい話題になるだけでなく、子供にとっても愛情が感じられて将来の励みになると思います◎
