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時間がゆっくり流れる島「青山島(チョンサンド)」とは?韓国のスローシティで絶景と田舎暮らしに出会う旅

韓国旅行といえば、ソウルのショッピングや釜山の海辺、済州島のリゾートを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。しかし、韓国南西部には、都会の慌ただしさを忘れ、のんびりとした時間を過ごせる島があります。それが「青山島(チョンサンド/청산도)」です。

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青い海と山、昔ながらの石垣の路地、なだらかな田園風景。島全体にゆったりとした空気が流れ、歩くことそのものが旅の目的になる場所です。今回は、韓国の隠れた魅力を感じられる青山島について、見どころやドラマ・映画のロケ地、島ならではの文化を紹介します。

青山島はどこにある?アジア初のスローシティ

青山島は、韓国南西部の全羅南道に位置する島で、莞島(ワンド)から約19キロメートル離れた海上にあります。島の名前は「山も海も空も青い」という意味に由来するとされ、その名のとおり、青い海と緑豊かな山が織りなす風景が魅力です。

大きな特徴は、2007年にアジアで初めてスローシティ(国際スローシティ運動の認定地域)に選ばれたことです。スローシティとは、地域の自然や伝統、食文化を大切にしながら、ゆとりある暮らしを目指す取り組み。青山島では、昔ながらの集落や農業、海とともに暮らす人々の営みが、島の魅力をつくっています。

1. 島を歩いて楽しむ「青山島スローギル」

青山島観光の中心となるのが「スローギル(슬로길)」と呼ばれる散策路です。島内の村や海岸、田園風景をつなぐ全11コースが整備され、総延長は約42キロメートル。美しい景色を眺めながら、急がず自分のペースで歩くことができます。

道中には、低い石垣が続く集落や畑、海を望む丘など、韓国の昔ながらの島の風景が広がります。観光名所を次々と巡る旅とは異なり、気になった路地を歩いたり、海を眺めながら休憩したりする時間そのものが楽しみです。

全コースを歩くには相応の時間がかかるため、短い滞在なら見たい景色を絞って巡るのがおすすめです。

2. 映画『風の丘を越えて/西便制』のロケ地

青山島を有名にしたものの一つが、1993年公開の韓国映画『風の丘を越えて/西便制(ソピョンジェ)』です。韓国の伝統芸能パンソリを題材にした作品で、島の美しい田園風景や石垣の道が印象的に登場します。

特に知られているのが、映画の撮影地として有名な「ソピョンジェ道」です。石垣に挟まれた坂道を歩くと、両側に広がる畑や遠くの海が目に入り、映画の世界に入り込んだような気分を味わえます。

春には菜の花や青麦が景色を彩り、写真撮影にもぴったり。韓国映画やドラマが好きな人なら、作品の舞台となった場所を訪ねる旅も楽しめそうです。

3. 世界農業遺産にも登録された「グドゥルジャンノン」

青山島の田園風景を語るうえで欠かせないのが「グドゥルジャンノン(구들장논)」です。

これは、傾斜の多い島で農地を確保するため、地面に石を敷き詰め、その上に土を重ねて造られた独特の水田です。石の層を利用して排水する仕組みがあり、限られた土地を生かすための知恵が詰まっています。

一見すると普通の棚田のようですが、土地の条件に合わせて工夫された農業技術は、島の暮らしの歴史を伝える貴重な文化遺産です。美しい景色を眺めるだけでなく、厳しい自然環境の中で暮らしてきた人々の知恵にも注目してみてください。

4. 透明感のある海と素朴な集落

青山島には、海辺の散策を楽しめるスポットもあります。

新興里(シヌンリ)周辺のプルドゥン海辺は、潮が引くと砂地が現れることで知られています。また、地理海辺(チリヘビョン)は海岸の砂浜と松林が美しい場所で、夕暮れ時の景色も魅力です。

島内の上西里(サンソリ)周辺には、昔ながらの石垣が残る集落があります。曲がりくねった路地や素朴な家並みを眺めながら歩けば、都会の観光地とは違う韓国の暮らしを身近に感じられるでしょう。

5. 青山島で味わいたい島の食文化

青山島では、海の幸や山菜など、地域の自然に根差した食文化も楽しみの一つです。魚介類を使った料理や、地元で採れる食材を生かした素朴な食事は、ゆっくり過ごす島旅によく似合います。

島では、地域の食文化を体験する「スローフード」の取り組みも紹介されています。豪華な料理を目的にするというより、地元の食堂でその土地ならではの味に出会うことが、青山島らしい楽しみ方といえそうです。

青山島へのアクセスと旅行のポイント

青山島へは、韓国本土の莞島旅客船ターミナルからフェリーで向かいます。所要時間はおおむね40〜50分程度ですが、船の便や運航状況によって異なります。

島内の散策には歩きやすい靴が必須です。スローギルはコースによって距離や起伏が異なるため、無理のない計画を立てましょう。春は菜の花や青麦が美しい季節として知られていますが、ほかの季節にも海岸や石垣の集落など、それぞれの魅力があります。

また、船は天候や海況によって変更・欠航となる場合があります。旅行前には運航会社や莞島郡の観光情報を確認し、帰りの船に乗り遅れないよう余裕を持った日程にすることが大切です。

まとめ:何もしない時間を楽しむ韓国旅行へ

青山島は、青い海と山、石垣の路地、独特の水田、映画のロケ地など、素朴な魅力が詰まった島です。アジア初のスローシティとして、自然や伝統を大切にしながら暮らす地域の姿が今も残っています。

観光スポットを効率よく巡る旅も楽しいものですが、青山島では、ゆっくり歩き、海を眺め、地元の食事を味わうことが何よりの贅沢です。

忙しい毎日から少し離れて、時間がゆっくり流れる島を訪れてみたい。そんな人にこそおすすめしたい韓国の旅先です。

筆者
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植竹 智裕

元・世界新聞ライター。旅人(訪問国はアジアを中心に現在31カ国) 韓国歴は2005年の初海外旅行からスタートし、2012年には釜山からソウルまでママチャリで縦断。 オーストラリアでのワーキングホリデー中、田舎町で日本人ただひとり、韓国人に囲まれて生活したおかげあって2019年に韓国語能力検定5級取得。

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